粘度は流体を動かそうとした際の、動かしにくさを表すものです。流体の粘度を調べるには傾けた時の動きや感触、液体を混ぜる際の抵抗などで比べられます。人間の身体では食感やのど越しなど、皮膚や粘膜感覚でとらえることができます。一方粘度を数値化するには、定められた方法で測る必要があります。科学的な粘度は流体の「流れにくさ」を表す数値で、せん断応力をせん断速度で割った値が粘度となっています。粘度を測定する機器が粘度計で、目的や粘土領域に応じて様々な種類があります。粘度計は基本的な測定原理により、細管式と落球式、そして回転式粘度計に分けることができます。

粘度計の種類と仕組み

細管式粘度計は細管内に試料を流し、時間と圧力差によって粘度を割り出す原理によるものです。細管式は最も歴史がある粘度計で、試料が流れ落ちる時間を測定する方法となります。細管式粘度計は低粘度の流体の測定に適しており、水やオイルなどの測定に用いられています。落球式粘度計は、静止した流体試料の中に専用の球を落とすことで測定する原理の方法です。粘度は玉の落下時間で表され、高粘度の試料の測定に用いられます。蜂蜜や水あめ等の粘度測定に使われています。
回転式粘度計は回転体が、試料となる流体から受ける抵抗を測定する方法です。回転トルクから粘性抵抗を読みとり数値化します。回転式は回転体の形状によって、タイプや仕組みが分かれてきます。共軸二重円筒型や単一円筒型、コーンプレート型などがあります。現在は回転式粘度計が主流となっており、回転数を変更することで資料の抵抗を細かく測定できます。回転式粘度計の回転数を自在の制御できるようにしたのが、レオメーターと呼ばれる測定機器です。その他の粘度計としては、振動式も普及しています。これは振動子を使ったもので、流体中で振動させる駆動電流から粘度を算出することができます。

粘度計での測定方法について

工業製品の材料となる物質には、様々な物性を有しているものです。中でも液性試料の物性として、粘度は代表的なものです。流動性が高い状態での使用や、コーティング剤などの利用など求められる粘度の基準は様々です。それゆえ材料の状態に応じて、適切に測定することが重要です。そのために必要となるのが粘度計で、測定する試料や目的に応じて原理や測定方法も異なっています。粘度測定の大事な要素として、せん断速度が挙げられます。
せん断速度は流体が流れる際に、壁面との摩擦で流動速度が左右されるのに基づきます。そして流路の表面や直径によって、せん断速度も変化してくるわけです。また、粘度は温度や圧力、測定時間によっても大きく左右されます。そのため粘度計には、こうした要因を制御できる仕組みが求められます。
粘度の別名は粘性率や粘性係数とも呼ばれ、工業的にセイボルト秒という単位も使われます。粘度の比較測定によく用いられるものとして、オストワルド粘度計が挙げられます。当粘度計の場合、上部標線の上まで恒温水槽に浸けます。流動試料を標線の上まで吸い上げてから、毛細管の中を自然降下する時間を測定する原理です。粘度既知の標準液と比較することで、試料の粘度が算出できます。

粘度計による測定の注意点

粘度測定の注意点は、先ず対象試料に関しての規格や試験方法が決まっているのを確認することです。試験方法によっては、測定機器などの形状や寸法が決められています。次の段階では、粘度計の型式を決める流れとなります。機器によっては直接動粘度を測定することが可能です。因みにオストワルド粘度計は、標準液との相関を割り出すタイプの粘度計となっています。実際の測定に際しては、試料の動粘度に対応した測定範囲から選ぶことになります。
測定値の校正方法としては、校正用標準液というものがあります。これはJIS規格で定められており、標準液と当液の動粘度が規定されているものです。標準液を使えば、測定者は自分で校正することが可能です。粘度計定数は、この粘度計校正用の標準液を使って決められています。当液を恒温水槽内で降下させ落下時間を測り、動粘度を除した値が粘度計定数となるわけです。動粘度に関しては、粘度を密度で割ることで求められます。測定の際には、一定量の試料が定温状態で、毛細管の中を重力降下することが肝心です。そのため、専用の恒温水槽を用いる必要があります。加えて水槽への粘度計取付の際には、垂直を十分に確認することが大事です。

まとめ

粘度計には細管式をはじめ、回転式や落下式、そして駆動式があります。細管式は内径が一様な細管を用いており、一定量の流体を流すことで測定するものです。細萓の長さを内径に対して長くすれば、細管両部の圧力差が流体の粘度に比例するわけです。回転式は容器内に流体試料を満たし、円板や円筒を回転させてトルクを測ります。それが試料の粘度に比例するので、標準液と比較して粘度を算出できます。こうした方式は、高分子工業など高粘度の試料にも対応可能です。溶融材料の特性を的確に把握することは、高分子化学や化学繊維工業の品質管理で不可欠です。